【推しらせです。】

好きなものを、好きなだけ、好きと叫べ!!!!!!!

アイドルファンの鎧を脱ぎ捨てた日

 

私は、20年近くずっと、アイドルファンをやってきました。

小学校低学年の頃から、つい最近までずっと。

 

現場(コンサート)に行くときは、右手にペンライト、左手にうちわ。

座席の上に置いたカバンの一番上には双眼鏡。

大好きな人のメンバーカラーの服を着て…。

それが私のコンサート時の装備体制だった。

 

ヘタレな性格なので、コンサートで大好きな人の名前は叫べない。

けれど、ありったけの気持ちを服とうちわにこめる。

うちわは手作りしたものを持つことが多かった。好きなメンバーの名前、

そして、その時々で伝えたいこと。「○○して」と言うファンサうちわを持つ

ことは少なかった。「いつも元気をありがとう」「舞台○年目公演おめでとう」

など、ほぼほぼ、ファンレターに書くようなことをうちわに込めていた。

うちわは、私にとってのファンレターだったんだと思う。

 

名前を呼べない分、コールして、煽られたら答える。

その魂のぶつかり合いのような瞬間が大好きでした。

 

CDが出れば買い、コンサートDiscが出れば買い、雑誌に掲載されれば買う。

ラジオを聴き、テレビ番組を見る。

そうやって、もう長いことやってきた。

 

 

 

そんな私にも、アイドルファンの鎧を脱ぐ時が来ました。

 

 

 

昨年の始め、ずっと追いかけていたアイドル事務所のファンをやめた。

他に気になる人ができたから。自分の気持ちに正直に進んだ結果だった。

 

 

でも、その後進んだ先もアイドル作品だったので

アイドルファンでいることは変わらなかった。

 

 

ドリフェス!』に出会い、DearDreamに出会った。

2次元キャラクターの片桐いつきくんと、

3次元キャストの正木郁さんに出会った。

彼らを推すと腹をくくった。

 

「キャラクターはもちろんアイドルだけど、キャストさんは半分俳優さんだよ。」

と、こっちに来るときに教わった。

その、”半分俳優さん”が追いかけるのを少し、ためらわせた。

でも、「歌って踊ってるし、アイドル…って思ってもいいんかな?」と

ファンになった。

 

 

私が追いかけ始めてすぐにファイナルライブの開催を告げられてしまい、

活動期間内に彼らを追いかけれたのは、ものの8ヶ月ほどだった。

 

けれど、その8ヶ月の間に行った5つの現場のうち、2つの現場でペンライトと

うちわを持ち、1つの現場でペンライトを持った。3つの現場に、アイドルファン

の装備で行けた。

追いかける界隈は変わっても、持っているものが同じであること。

それがすごく安心した。

 

ライブ現場にも2つ行くことができた。

名前を呼ぶことは、恥ずかしくて照れるので抵抗があるけれど、その分

精一杯コールして声援を送る。

この瞬間が、たまらなく楽しいって思った。

 

10月20日21日、日本武道館

ドリフェス!』は、ファイナルライブの日を迎えました。

私がアイドルファンの最後に追いかけた作品・人たちは、追いかけ始めて

8ヶ月で、一旦の活動休止となりました。

 

 

 

私は、この先どうやって生きていく?

 

 

 

キャラクターのこれからは、恐らく、そんなに見れない、、、

そのうち、、、見れなくなる。

「これからも活動していますよ」と言う言葉と共に、更新はなくなって

いくんだと思います。

でも、私は『ドリフェス!』が大好きなので、『ドリフェス!』の

ファンでいます。

 

 

 

 

一番悩んだのは、3次キャストのこと。

彼らはこれから、俳優さんに戻る、俳優さんになっていくんだと思います。

その部分を追いかけていくのかどうか。

 

 

3次キャストでは、正木さん推しな私。

でも、私が惚れたのは、アイドルをやっている彼でした。

…アイドルから離れた時……私は彼を…推して行く?

気持ちが定まらなかった。

 

彼を推すことに抵抗がある訳ではない。

アイドルではない俳優さんを推すことに抵抗があったんです。

20年近くもの長い時間をアイドルファンとして生きてきた。

そのスタンスが自分には合っていたし、楽しいと思ってきた。

そのスタンスを投げ捨て、応援スタンスを変え、これから生きていくことが

果たして自分にできるのか、合うのか、楽しいと思えるのか。

……怖かったって言うのが正直なところです。

 

うちわも持たず、ペンライトも持たず、コンサート用に準備した服も

着ないで、現場に存在する…と言うことに戸惑った。

 

 

 

彼のことは推していきたいと思う。

でも、この先、彼を推して行くことは同時に、アイドルファンで

なくなることを示していた。

アイドルファンで居させてもらえたまま彼を推せるのであれば、

私は何も戸惑うことなんてなかった。

 

 

 

ファイナルライブの翌月に出演舞台があったけれど、

地方民だった私には行けなかった。金銭的に厳しかった。

 

 

…アイドルではなくなった彼を、私が見るのはいつになるんだろう。

…見ることは…あるのだろうか。

 

 

 

 

彼のアイドルである姿をファイナルライブと言う場で見た後。

そのファイナルライブで配られたフライヤーを見ていた。

ぼーっと、ペラペラっとめくった数枚目にあった。

舞台『神ノ牙-JINGA- 転生』のフライヤー。

白地の用紙に黒い文字が並んだフライヤー。

そこには、所属事務所から唯一出演する正木さんの名前だけがあった。

 

 

 

直感だった。

「行きたい。」「行かなければ。」と思った。

 

 

 

所属事務所のチケット枠と劇団枠でチケットを申し込み、

何とか希望公演のチケットを手に入れた。

 

 

 

ファイナルライブが終わって数ヵ月。

私は、10月21日でアイドルファンの鎧を脱ぎ捨てた気でいた。

でもそれは、自分で脱いだ訳じゃない。プロジェクトのファイナルライブと

共に、強制的に脱がされたものだった。

だからだろう、すごく違和感があった。

私はアイドルファンでいたいんだ。着ていたい鎧をなぜ脱がすんだ…と。

 

「プロジェクトのファイナルライブが終わっても、終わってない。」

「好きでいる限り、終わらないんだ。」

と言う言葉にしがみついて、頑なに、半分脱ぎかけの鎧を必死で掴んでいた。

 

 

 

 

 

アイドルファンの鎧を完全には脱ぎきれぬまま迎えた、

舞台『神ノ牙-JINGA- 転生』公演当日。

ひとり参加のため、1枚で取ったチケットを握りしめ、会場に向かった。

 

 

開場時間と共に入場し、グッズを買い、他界隈のファンの方とお話し、

開演時間10分前。席についた。

 

手にはペンライトもうちわもない。カバンの中に双眼鏡もない。

メンバーカラーの服も着ていない。

私にとってそれは、生身そのものだった。

 

本人に相対するのに、何も身につけていないことが不安でたまらなかった。

コールも歓声も上げれない場であることも落ち着かなかった。

…ただ、ぎゅっと、手を握った。

 

 

 

 

開演してすぐ、正木さんが登場した。

予想もしていなかった感情が脳内を駆け巡った。

 

「……あなたは、誰ですか?」

 

普段見ている笑顔は微塵もなかった。

いつも感じている、ふわふわしている雰囲気もなかった。

いつも聞いている、あのキーの高い声も聞こえてこなかった。

 

「……私が知っている彼じゃない。」

 

恐怖すらも感じるほどに、その”役”そのものだった。

 

ただひたすらに、高貴で気品があって、冷徹。

普段見ることのない彼を見た。

 

 

 

 

 

終演後、「凄い…。」と言う言葉だけが強く頭に残った。

感じたもの全てが上手く言葉にできずに脳内に散乱していた。

 

 

 

 

 

「楽しい。」と思った。

 

 

 

 

開演前は、あんなに不安だったのに。

 

 

 

 

 

アイドルファンは、そのアイドルの人間性に惹かれる。

そう思っている。

彼・彼女らそのものの多面性や人間性に惚れる。

 

俳優ファンってどこに惚れるの?単純に謎だった。

その人そのものの人間性って言うのは、もちろんだろうけど

「役に惚れるの?」疑問だった部分に自分なりの結果が出せた。

 

「役に惚れる」そして、「いろんな役を通して、多面性に惚れる」。

 

 

 

1月14日舞台『神ノ牙-JINGA- 転生』千秋楽。

そのカーテンコールのキャスト挨拶で話す正木さんは、紛れもなく

いつも見ている正木さんだった。

そんな彼を、客席から少し緊張しながら見つめた。

 

私はこれから”彼”と”彼の演じる役”を見ていくんだなと思った。

今まで見ていたエンターテインメントとは少し、違う。

けれど、同じ、エンターテインメントと言う世界で。

 

 

 

以前腹をくくったときのような、切羽詰まった感はない。

「好きだと思った時は、その気持ちの赴くままに」

今の自分の感情に流されてみよう……と思った。

 

 

 

この先に、どんな未来が待っているのか。

以前居続けた界隈から離れ、

アイドルファンと言う鎧すらも脱いでしまった自分には

何も想像がつかない。

 

 

少しね、怖くはあるよ。…そりゃあね。

でも、今は楽しいから。何しか、気になるので。

 

 

 

アイドルファンから、俳優ファンへ。

着ている鎧を着替えて。

 

 

 

鎧を脱ぎ捨てた日。

 

新たな鎧を、身にまとった日。